「荷物が思ったより多いので追加3万円です」「時間が押したので延長料金をいただきます」
引越し当日の現場で、作業員から突然の値上げを宣告されたら、多くの人はパニックになります。「払わないと作業を止める」と脅されたら、泣き寝入りするしかないのでしょうか?
この記事では、業界歴23年のプロが、あなたを守るための「法的知識」と「警察を動かすキーワード」、そして現場で使える「最強の拒否スクリプト」を伝授します。
💡 結論:合意なき請求は「無効」です
国土交通省が定める『標準引越運送約款』第9条により、
「見積書に記載のない金額」を利用者の事前の承諾なしに請求することはできません。
まずは冷静に、その請求が正当かどうかを判断しましょう。引越し料金は「契約(見積もり)」が全てです。
【重要】なぜ「訪問見積もり」が重要なのか
電話やネットだけの見積もりでは、荷物量を「顧客の自己申告」に依存します。この場合、申告漏れがあれば追加料金の正当な理由になります。
しかし、営業マンが家に来て荷物を見た(訪問見積もり)場合、荷物量の見誤りは「プロである業者の責任」となります。これが最大の防御壁です。
相手は百戦錬磨の現場作業員です。「ええ、困ります…」といった曖昧な態度は命取りになります。以下の台本通り、毅然と返してください。
「事前見積もり通りの金額で契約しています。
標準引越運送約款に基づき、見積書にない追加料金の支払いには同意できません。」
「契約不履行(債務不履行)になりますが、よろしいですか?
一方的な作業放棄は損害賠償の対象になりますので、今から消費者センターと警察に通報します。」
作業員が「僕らの自腹になるんです」「給料から引かれるんです」と同情を誘うケースがあります。
しかし、それは「業者と従業員の労働問題」であり、顧客であるあなたが負担すべきものではありません。ここで情にほだされて払うと、後で取り返すのは不可能です。「それは御社の社内規定の問題ですので、私には関与できません」と伝えましょう。
「女性一人で怖い」「居座られて困る」などの理由で、身の危険を感じてやむを得ず払う場合でも、ただでは払わないでください。証拠を残すことが「返金」への唯一の道です。
支払う際、領収書の但し書きや余白に必ず以下のように書いてもらってください。拒否された場合は、自分で書き込んでからスマホで写真を撮ります。
これを法的に「異議留保(いぎりゅうほ)」といい、後で争う意思があることを示せます。これがなければ「合意の上で払った」とみなされ、返金は絶望的になります。
基本的に料金トラブルは「民事」なので警察は介入しません(民事不介入)。しかし、以下の状況になれば「刑事事件」の可能性があります。
引越し業界歴23年。現場で横行する「見積もり外の不当請求」や「作業放棄の脅し」を数多く解決。消費者が対等な立場でサービスを受けるための「法的知識」と「交渉術」を啓蒙している。