「キャンセル料として数万円かかります」「もうトラックを押さえたので全額請求です」
やむを得ない事情でキャンセルを申し出た途端、業者が豹変して高額請求をしてくるケースが後を絶ちません。しかし、パニックになる必要はありません。業界歴23年のプロが、法律(約款)を盾にした「正しい断り方」を伝授します。
💡 結論:キャンセル料は「言い値」ではありません
国交省が定めた「標準引越運送約款」で上限が決まっています。
「3日前までのキャンセル」なら、原則として1円も払う必要はありません。
ほとんどの引越し業者が採用している「標準引越運送約款」に基づくルールです。これ以上の金額は、基本的に無効です。
| キャンセル時期 | 請求上限額 |
|---|---|
| 3日前まで | 0円(無料) |
| 2日前(前々日) | 運賃等の 20% 以内 |
| 1日前(前日) | 運賃等の 30% 以内 |
| 引越し当日 | 運賃等の 50% 以内 |
見積もりに記載された「運賃」と「人件費(作業料)」の合計です。エアコン工事などの「付帯サービス」や「資材費」は別計算になります。
※ 3日前に「延期」を申し出た場合も、手数料はかかりません。
自己都合ではなく、台風や大雪、地震などで引越しが不可能になった場合はどうなるのでしょうか?
標準引越運送約款では、天災地変等の不可抗力による解約・延期の場合は、解約手数料を請求できないと定められています。
業者が「台風でも行けます」と言い張る場合でも、道路の通行止めや安全確保が困難な状況であれば、交渉の余地はあります。
キャンセル料は無料でも、以下のものは「実費」として請求される正当な理由があります。
「うちは独自のルールがある」と言われても、ひるまずにこう返してください。
「御社は『標準引越運送約款』を採用されていますよね? 約款では3日前までのキャンセルは無料のはずです。
独自の規定があるなら、契約時にその説明を受けた記憶がありませんので、消費者センターに相談させていただきます。」
「標準引越運送約款では、『手付金・内金は請求しない』と定められているはずです。
この請求自体が約款違反の可能性がありますので、国土交通省の窓口に確認してみます。」
📝 「次は絶対に失敗したくない」なら
キャンセル規定を遵守し、無理な請求をしない「優良認定」を受けた引越し業者を選びましょう。
見積もり時の対応だけで、その会社の質が分かります。
交渉が決裂した場合は、一人で抱え込まずに第三者を入れましょう。
A. 証拠を残すためにメールは有効ですが、気づかれないリスクがあります。「メールを送った上で電話もし、担当者の名前を控える」のが最も確実です。電話の録音も有効な自衛手段です。
A. 国土交通省の標準約款とかけ離れた高額なキャンセル料は、消費者契約法第9条(平均的な損害を超える部分の無効)により、無効となる可能性が高いです。諦めずに消費者センターへ相談してください。
引越し業界歴23年。数万件の現場を見てきた中で、キャンセル料を巡るトラブルも多数解決。悪質な業者の手口を熟知しており、消費者が泣き寝入りしないための「正しい知識」と「交渉術」を発信している。