「お客様、これ以上トラックが進めないので、ここから手運びになります」「小さいトラックに積み替えるので追加料金です」
引越し当日、家の前で立ち尽くすトラック。これは狭小住宅や路地裏の物件で頻発する、最も高額なトラブルの一つです。
「うちの乗用車は通れるから大丈夫」という思い込みが、数万円の損失を招きます。業界歴23年のプロが、2トンロングが入れる限界の道幅、高さ制限の落とし穴、そしてトラブルを未然に防ぐ交渉術を完全解説します。
💡 プロの結論:事前の「道幅チェック」が命
「たぶん入れるだろう」は禁物です。
トラックが横付けできない場合、3万~5万円の追加料金が確定します。
トラックが家までたどり着けない場合、以下のいずれかの方法で運ぶことになり、追加料金が発生します。これは業者の「意地悪」ではなく、作業時間と人員が倍増するための正当な対価です。
トラックを停めた位置から玄関まで、作業員が走って荷物を運ぶこと。距離に応じて料金が加算されます。
※ 距離が長いと時間がかかり、雨の日は荷物が濡れるリスクが跳ね上がります。
広い道に大きなトラックを停め、そこから軽トラックや1トントラックに荷物を積み替えて、家との間を何度も往復する方法です。
※ トラックが別途1台必要になるため、コストが大幅に上がります。
引越しでよく使われるトラックのサイズを知っておきましょう。特に注意すべきは、ファミリー引越しの標準である「2トンロング」です。
「2トン」という名前に騙されてはいけません。長さはマイクロバスほどあり、小回りが利きません。
| 車種 | 車幅 / 全長 | 必要な道幅(直線) | すれ違い |
|---|---|---|---|
| 軽トラック (単身用) |
約1.5m / 3.4m | 約2.5m(余裕) | 可能 |
| 2トンショート (単身~2人) |
約1.7m / 4.7m | 約3.0m(普通車並) | ギリギリ |
| 2トンロング (2人~3人) |
約2.0m / 6.4m | 約4.0m(要注意) | 不可 |
| 3トン・4トン (4人家族~) |
約2.5m / 8~9m | 約5.0m以上 | 不可 |
※ 上記は「直線道路」の目安です。カーブや電柱がある場合、さらに幅が必要です。
「うちは車庫証明が取れたから大丈夫」は通用しません。実際に現地で以下の3点をチェックしてください。
道路の端から端ではありません。「電柱と向かいの家のブロック塀の間」など、最も狭くなっている場所をメジャーで測ってください。
2トンロングの場合、ミラーを含めて最低でも2.5m、できれば3m以上の「物理的な隙間」がないと通過できません。
引越しトラックは箱型のため、高さが約3mあります。
・カーポートの屋根
・突き出した看板や軒先
・垂れ下がった街路樹や電線
これらが接触する恐れがある場合、トラックは進入できません。
クランク(直角カーブ)やT字路は要注意です。道幅があっても、2トンロング(全長6m超)は内輪差が大きいため曲がりきれないことがあります。
Googleストリートビューで経路を辿り、鋭角なカーブがないか確認しましょう。
料金だけの問題ではありません。無理やり狭い道にトラックを入れると、近隣住民とのトラブルに直結します。
長時間駐車が必要な場合、事前に「道路使用許可」を警察署に申請する必要があります(業者が代行してくれますが、別途費用がかかります)。
見積もり時に「道が狭いかも」と伝えるだけで、業者は対策を練ることができます。当日の追加料金を防ぐための交渉術です。
電話やメールでの見積もり時、新居の前のGoogleマップ(ストリートビュー)のURLを送りましょう。
「この道幅なのですが、2トンロングで入れますか?」と聞けば、プロは一瞬で判断できます。
営業マンにこう伝えてください。
「道が狭いので、当日のトラックのサイズで入れるか、配車担当の方に確認してもらえますか?」
これにより、営業マンは安易に「大丈夫ですよ」と言えなくなり、確実なプラン(小さいトラック2台など)を提案してくれるようになります。
「狭い道でも手際よくやってくれる業者は?」
小回りの利く「軽トラプラン」や、難所が得意なプロを探す
引越し業界歴23年。ドライバーとして数々の「激狭道路」や「極細路地」を攻略してきた経験を持つ。現地を見ずに契約して当日トラブルになるケースを減らすため、Googleマップを活用した見積もり術を提唱している。