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🩹 「作業完了サイン」の後でも補償される?引越し破損・紛失トラブル完全解決ガイド&時価賠償の仕組み

引越し作業が終わり、一息ついたその時。ダンボールを開けたら食器が割れていた、家具の裏に傷があった…。
「もう作業完了のサインをしちゃったから、今さら言っても無理かな…」と諦める必要はありません。

業界歴23年のプロが、サイン後でも正当に補償を受けるための「法的根拠」と、多くの人が勘違いしている「時価賠償(新品にはならない)」のルール、そして業者が言い逃れできない具体的な「証拠の残し方」を徹底解説します。

この記事の目次

💡 プロの結論:サイン=免責ではありません

完了サインはあくまで「作業の終了」を確認するものであり、「すべての瑕疵(傷)がないこと」を確認するものではありません。
「すぐに」「証拠を持って」連絡すれば、サイン後でも十分に補償の対象になります。

1. 法律上のリミットは「3ヶ月」!実務上の期限は?

まず、あなたの権利を確認しましょう。業者が「もう完了印をもらったので終わったことです」と言ってきても、法律(約款)はあなたの味方です。

標準引越運送約款の「3ヶ月ルール」

標準引越運送約款 第25条(責任の消滅)

荷物の滅失・き損についての責任は、引き渡しの日から「3ヶ月以内」に通知を発しなければ消滅する。

つまり、3ヶ月以内に「ここが壊れていました」と連絡を入れさえすれば、権利は消滅しません。これが大原則です。

なぜ「1週間以内」が推奨されるのか

1週間以内
(強く推奨)
3ヶ月以内
(法的期限)

法律上は3ヶ月ですが、引越し業者の対応マニュアルでは、時間が経つほど「それは引越し後の生活でついた傷ではありませんか?」という反論が強くなります。これを「立証責任の壁」と呼びます。

引越し作業による傷であることを証明しやすくするためには、荷解き期間を含めて1週間~10日以内に連絡を入れるのが鉄則です。

2. 【要注意】補償されやすい物 vs されにくい物リスト

「いつ気づいたか」「何が壊れたか」で補償のハードルが大きく変わります。ご自身のケースがどちらに当てはまるか確認してください。

⭕ 補償されやすいケース
  • 業者が梱包した「らくらくパック」での破損
  • ダンボールの外側に大きな凹みや穴がある
  • 家具の裏面・底面など、普段触らない場所の新しい傷
  • 冷蔵庫や洗濯機など大型家電のへこみ
  • 業者が養生(保護)していた箇所の壁・床の傷
❌ 補償されにくいケース
  • 引越しから1ヶ月以上経過してからの連絡
  • 自分で梱包したダンボールの中身(外傷なし)
  • パソコン・HDDのデータ消失(約款上の免責)
  • 美術品・骨董品で申告していなかったもの
  • もともと調子が悪かった古い家電(経年劣化)

※「自分で梱包した箱」の中身が壊れていた場合、外箱にダメージがなければ「梱包が甘かった(顧客責任)」とされることが大半です。

3. 発見直後にやるべき「証拠保全」完全ステップ

感情的に電話をする前に、まずは証拠を固めます。引越し事故対応において、「現状維持」こそが最強の武器です。

STEP 1:現場の撮影(アングル重要)

破損箇所のアップだけでなく、以下の3枚を必ず撮影してください。

  • ① 破損箇所のアップ(傷の深さがわかるように)
  • ② 製品全体の写真(どの家具かわかるように)
  • 置かれている状況の写真(発見時の状況)
STEP 2:梱包資材の確保(最重要)

これが最も重要で、最も多くの人が失敗するポイントです。
「ダンボール」「プチプチ(緩衝材)」「詰め紙」は絶対に捨てないでください。

特にダンボールの角が潰れていたり、穴が開いていたりする場合、それは「運搬中に衝撃が加わった動かぬ証拠」となります。

STEP 3:メールでの第一報通知

電話は「言った言わない」のトラブルになります。また、担当者が不在でたらい回しにされるストレスもあります。
必ず「問い合わせフォーム」か「メール」で証拠写真を添付し、ログを残してください。

STEP 4:型番・年式の確認

家具・家電の裏面や側面に貼ってあるシール(定格銘板)を確認し、「メーカー」「型番」「製造年」をメモします。
購入時のレシートや保証書があれば、それが「購入価格」の証明になります。

4. 揉める原因No.1「時価賠償」の仕組みと計算式

「壊れたから新品で返して!」「最新機種を買うからお金頂戴!」
お気持ちは痛いほど分かりますが、法律および保険のルール上、補償は「時価(現在の価値)」が上限となります。

新品交換はなぜNG?減価償却の壁

物は買った瞬間から価値が下がり始めます。これを「減価償却(げんかしょうきゃく)」と言います。引越し業者が加入している運送保険も、この考え方に基づいて支払われます。

【保存版】主な家財の耐用年数一覧表

引越し業者の保険会社は、税法の耐用年数などを参考に「寿命」を定めています。これを超えると、基本的には「価値がない(0円)」と見なされやすくなります。

カテゴリー 品目 耐用年数
(目安)
白物家電 冷蔵庫・洗濯機 6年
エアコン・暖房器具 6年
掃除機・電子レンジ 6年
照明器具 15年
黒物・デジタル テレビ・パソコン・DVD 5年
カメラ・ビデオカメラ 5年
オーディオ機器 5年
家具・寝具 タンス・食器棚(木製) 10-15年
ベッド・ソファ(金属製含む) 8-15年
布団・マットレス 3-6年
カーテン・じゅうたん 3年
衣類・その他 スーツ・コート・着物 3-5年
書籍・雑貨 8年

※上記は一般的な目安です。美術品や骨董品、プレミア価格がついているものは別途鑑定が必要となります。

実際の賠償額シミュレーション

一般的に用いられる「定額法」での計算イメージです。

📝 計算例:5年前に10万円で購入した洗濯機が全損した場合

前提:洗濯機の耐用年数は「6年」とします。
毎年、価値が約16.6%ずつ減っていきます。

※「新品価格の10万円」は補償されませんが、「中古市場で同程度の5年落ち洗濯機を買う費用」としては妥当な金額になります。

Q. 耐用年数を過ぎたら0円になるの?

計算上は0円になりますが、実際には使用できていた物品であれば「残存価値(底値)」として、購入価格の10%程度(または数千円)が認められるケースが多いです。0円と査定されても、「引越し前日まで正常に使えていた」と主張し、最低限の補償を求めましょう。

Q. 修理と金銭賠償、どっちになる?

これは「安い方」が採用されます(経済的全損の考え方)。

パターンA:修理費 < 時価額 パターンB:修理費 > 時価額
修理対応
メーカー修理を手配し、修理代金を全額業者が負担します。
※顧客に金銭は渡りません。
金銭賠償(時価額)
修理代が高すぎる場合、「時価額(例:2万円)」が現金で支払われます。
※これ以上は支払われません。
👨‍🔧 交渉の着地点 「『新品交換』を強硬に要求するとクレーマー扱いされ、交渉が膠着します。
最もスムーズで得策なのは、『きれいに直るならメーカー修理でOK』という姿勢を見せることです。
結果的に部品がなく修理不能であれば、そこから金銭交渉に移行できます。」

5. 業者の逃げ口上を封じる「交渉スクリプト」

現場担当者やコールセンターのマニュアル通りの断り文句には、約款に基づいた正論で返しましょう。

パターンA:「完了サインを頂きましたよね?」と言われたら

「サインは『作業終了』の確認であり、隠れた瑕疵(内部の破損やダンボールの中身)までその場で全て確認したわけではありません。
標準引越運送約款第25条に基づき、3ヶ月以内の通知期間を行使します。

パターンB:「お客様が梱包されたので補償外です」と言われたら

「ダンボールの外側(角・側面)に明らかな打痕があります。
箱が潰れているのは運搬中の衝撃によるものですので、梱包方法の問題ではなく運送上の過失です。現物を保管していますので確認に来てください。」

パターンC:「それは元々あった傷(生活傷)ですよね?」と言われたら

「断面を見てください。ホコリも被っておらず、木材の色が新しいです。
これは『新損(しんそん)』と呼ばれる、最近ついた傷の特徴です。必要であれば第三者機関(家具修理業者など)の見解を求めます。」

よくある質問(FAQ)

引越し完了のサインをしてしまった後でも補償されますか?
はい、可能です。標準引越運送約款では、荷物の引き渡しから「3ヶ月以内」に破損等の通知を行えば、業者の責任を問うことができます。ただし、時間が経つほど「引越しによる傷」の証明が難しくなるため、発見次第すぐに連絡することが重要です。
5年使った洗濯機が壊されました。新品に交換してもらえますか?
原則として新品交換はできません。賠償は「時価(現在の価値)」で行われます。家電の耐用年数は一般的に6年程度のため、5年経過している場合は購入価格の10~20%程度の補償額になるか、修理対応となるのが一般的です。
パソコンのデータが消えてしまいました。補償対象ですか?
残念ながら、データの消失は基本的に補償対象外(免責事項)です。標準引越運送約款でも、データの復旧費用や消失による損害は賠償しない旨が明記されています。引越し前には必ずバックアップを取る必要があります。
ダンボールの外側に傷がないのに中身が割れていました。補償されますか?
ご自身で梱包した場合、外傷がないと「梱包不十分」として補償されないケースが多いです。ただし、トラックへの積み込み方が悪かった(重いものを上に載せた)場合などは交渉の余地があります。

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この記事の監修者 元引越しセンター 部長 S

引越し業界歴23年。現場作業員から支店長、エリア統括部長を歴任。数多くの事故対応(クレーム処理)を担当。業者が一番恐れるのは「論理的で証拠を持っている顧客」であることを熟知しており、感情論ではなく約款に基づいた冷静な交渉術を指南している。

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